とあるまさおの討論録(ディベートログ)

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まさおがディベートについて思ったことをつらつらと書いていきます。ご自身の意見等あれば是非コメントしていただきたいです。Twitter→@masaoopen

R14:Philosophy Open 2018 GFについて

どうも、まさおです
就活で忙しい(はず)なのにわざわざPhilosophy Openのために関東に行ってきたまさおです

 

今朝の地震で学校とバイトが休みになったので思わぬ休暇が降ってきました。でも余震が普通に怖いです(´・ω・`)

 

今回はGrand FinalのMotionについて少し思うところを書こうと思います。というのも現在授業で政治哲学を学んでいるのですが、まさにドンピシャで社会契約説の話がでてきたので、その授業で学んだことをMotionに絡めて書こうと思った次第です。

 

(以下に記す理論とかは全てその本から学んだことなので信憑性はそれ以上でも以下でもありません、あしからず)
(大会の感想とかは次の投稿にしようと思ってます)

 

GF Motion

TH opposes the idea of Social Contract as a rationale for citizens' obligation to obey the state's coercive decisions (such as laws and policies).

 

Info:
Social Contract is a political theory that attempts to justify coercion of citizens by the state by claiminig that the state exists because citizens agreed to establish it to promote common good.
This agreement is usually referred to as the Social Contract.


まず、社会契約説とは何なんでしょう?
ざっくり言うと「国民が政府の存在に合意したから政府の存在は正当化される」(=国民は政府の政策や指示に従う義務がある)という考えで、Why is the state justified?を説明する1つの理論です

 

細かく分けると何種類か含まれています

 

1:普通の(名前忘れました、そもそも名前あったっけ?)
―国民が合意したからOK、という普通のやつ
【問題点】
いや、合意してへんやん。どこにそんな契約書あるん?

 

2:tacit consent (暗黙の合意)
―「国からもらった利益を黙って享受した」「政府に投票した」「税金を払った」等の事実が国の存在に合意したという考え方
【問題点】
・国を離れたり利益やサービスを拒否することが難しいため実質forced choice
・合意の基の利益とそうでない利益を区別できない(welfareやインフラ、無償教育等)

 

3:hypothetical consent (仮説上の合意)
―もし無政府状態(anarchy)だったとしたら人々は国を作ることに合意するはずだから国の存在は正当化される、という考え方
【問題点】
無政府状態が世界に存在しないため検証不可能
・それでも国の設立に反対する人はいそう(radical anarchistとか)

 


まあ以上が社会契約説の概要です

 


あとこのMotionを考えるのにもう少し知っておいた方が良いと思われることがあります


〇社会契約説以外に国を正当化する理論は何があるのか?
〇国が無い(無政府状態)ってどういう状態なの?


〇社会契約説以外
主に2つあると思われます

 

1:Utilitarianism(功利主義
―社会全体の幸福を(他の方法以上に)最大化する限り、政府の存在は正当化される
【問題点】
・scapegoat(スケープゴート
―全体の利益を上げるためにminorityが苦しむことが求められる/正当化される
 Ex) テロリストとか犯罪者・はたまた冤罪の人を拷問にかけたり死刑にする→社会全体の幸福は最大化する

※これに対抗する理論としてIndirect Utilitarianismという考えがあります
Innocentの権利が不当に侵害される様な社会だと国民が常に不安に苦しめられるため結果として幸福が減っている、という考え
功利主義でもスケープゴートは認めません、って論じてます
あと幸福の量が数値化できるとassumeすれば、人権侵害とか冤罪による喪失の量がめっちゃ大きい、とも言えそうですよね


2:Fairness
―国からの利益を享受したら報いる義務があるため国の存在は正当化される
【問題点】
・合意が無くてもそれって成り立つの?
 Ex)バーでいきなり横のやつが酒を奢ってくれたからといって驕り返す必要なくない?


って感じです。まあ実際にGovが社会契約説の代わりとしてこれらの理論をsupportするかどうかは分かりません。試合の見せ方によっては必ずしもオルタナを出す必要もないと思われますし

 


無政府状態って?
ホッブズによる「自然闘争」みたいな考え方があります
政府がいない状態では人々はみんな争い攻撃し合う、少なくともその準備段階が続く、という考え方です。それには3つ理由があるとされています

 

1)リソースの制約:欲求が衝突しそれを満たす資源が限られているため、他者との競争や争いが始まる
2)不安:誰かに攻撃されるのではないか?他者の争いに巻き込まれるのではないか?という恐怖と不安
3)ザコでも強い人を倒せる:どれだけ強くなっても、数人に協力して倒されたりするかもしれない、という可能性

 

→欲求が完全に満たされることはなく、人は常に「更に」を求め続ける。そのため他者との争いが発生する
⇒本来なら争いが無い方が全体/個人の幸福が最大化されるのに、争うため幸福が減ってしまう
共有地の悲劇に近い)

 


☆この無政府状態を政府を作ること以外で解決しようという理論があります

 

1:Morality (Do not do onto others what you do not want others to do onto you)
無政府状態でもモラルによって人々は統率される、という考え(されて嫌なことは人にするな、という考え)
【問題点】
・ルールが無ければモラルは発生しないのでは?
・あったとして「誰かがモラルに背くかもしれない」という恐怖があるときに、先に裏切った方が得をするため結局モラルは守られないのではないか?(囚人のジレンマに近い)
・人々はShort sightedやから全体/長期的な利益とか無視してモラルを破りがち

 

2:law of nature (自然法
―罪を犯した人は被害者や第3者など誰かに裁かれるため平和は作られる
【問題点】
・リベンジが嫌だから誰も他人を罰しない
・Power Imbalanceのせいでやろうと思ってもできない
・そこまで力を持ってたらそれって国じゃないの?違いは何?

 


 


ですが最終的に、政府状態がこれらの問題を解決するとされています

 

1)リソースについて
⇒政府の管理と分配により少なくとも不平等さは改善され人々の不満も軽減
2)囚人のジレンマについて
⇒Punishmentを加えることによってShort termでその人にとってハームが大きいと考えさせることができるようになり、アホなことしなくなる
3)Power Imbalanceについて
⇒国の力は最強。警察とか

 

などなど

 

 

 


では実際のMotionについてまさおの独断と偏見に満ちた考えを述べようと思います


(再掲)
TH opposes the idea of Social Contract as a rationale for citizens' obligation to obey the state's coercive decisions (such as laws and policies).

 

Info:
Social Contract is a political theory that attempts to justify coercion of citizens by the state by claiminig that the state exists because citizens agreed to establish it to promote common good.
This agreement is usually referred to as the Social Contract.

 


⓪Motionの定義とExclusivityの整理
①Gov
②Opp

 

⓪Motionの定義など

 

このMotionはSocial Contract as a rationale for citizens' obligation to obey the state's coercive decisions
となっているので、おそらく本質的に問われているのは
△「state coercion to citizensはJustifyされうるのか」

◎「state coercion to citizensは『なぜ/どのような理由で』Justifyされるのか」
ということかなあと個人的に思います。理論上はほかにもstate coercionを正当化する考えはある訳ですし

 

 


そしてさらにこのMotionの範囲として

 

A:単に政治哲学の理論としての是非
B:現実世界への波及、この理論の有無が人々や社会にもたらす影響

 

が挙げられるのかな、と思います
(個人的に後者のBはかなり怪しい気もしてしまうので以下の説明では薄く留めておきます)

 


(以下、当日のGFで議論されていたことも拝借させていただきつつ簡単に書きます)

 

 

①Gov

1:そもそもコンセントしてない
がやっぱり一番強いのかなと。事実だし。
もし仮に

国民「とりあえず国の存在はまあOK」

となったとしても、どこまでコンセントしたのかが分からないため契約としてアウトです。


2:国民のせいにされる
国が失敗したとしても「でも君らコンセントしたよね?」って国民のせいにされる(かもしれない)
→国民がめちゃくちゃ意識改善してめちゃくちゃ国を厳しく監視しない限り国が改善しない


3:オルタナとの比較
功利主義とかは上手く説明出来たら優位性を示せるかもしれないですな
国がJustifyされるのは国民とのコンセントではなく幸福の最大化に基づく、と言えば幸福が最大化していないのは全て国の責任になるので

 


②Opp

1:コンセントの重要性

普通にコンセントの重要性を語ってみるのがいいのかもしれません

逆説的に合意の無い政治や政府を批判することもできるかもですね
ここでは国の存在意義が幸福とかの結果ベースではなくあくまでもrespect freedom and autonomyであることを説明すれば良いのかも
 


2:国民の政治意識が上がる(かもしれない)
国民に責任がある程度大きく委ねられる以上、政治意識が上がるかもしれません。なんでいいのかは説明しないといけませんが


3:オルタナとの比較でdisる/無政府状態やべえよ、と言う
GFでCOがやってた戦術ですね
ただGovも「Social Contractの基では国民が『俺こんな国に合意してませ~ん』ってもっと暴れだすから無政府状態になりやすい」とか言えるかもですな。僕にはちょっとよくわかりません

 

 

僕が今思いついているのはこんなところです

 

これらのPrincipleって実は普段よくやるMotionで使われる理論を深堀したものなので、理解しておくとそこでも使えるかもですね

 


今回はこんな感じで。