とあるまさおの討論録(ディベートログ)

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まさおがディベートについて思ったことをつらつらと書いていきます。ご自身の意見等あれば是非コメントしていただきたいです。Twitter→@masaoopen

R51:Japan Womxn's Nationals 2023のMotion解説 GF編

忘れないうちにとりあえず筆を持つ(キーボードをしばく)事はできました!えらい!

 

R50に引き続き、BOP設定やスタンスについて話していこうと思います

 

Info:

ReLife Laboratory is a secret state owned company which provides a programme called "ReLife" targeting at people who are socially detached(example of these people includes but not limited to NEET, those who are depressed/traumatised by society).
If you are chosen as a participant of this ReLife programme with your consent, you can choose to take a pill which physically recovers your body condition back to how it was when you were around 18, and you will be sent to high school selected by the laboratory with all the expenditure subsidised.

You will spend one year as a high school student and according to your activities you will be introduced to some corporations as future career support when the programme finishes.
After the programme, you will go back to your life with your memory fully reserved while the people who were in touch with you during ReLife will forget about you.
However once you expose you are under ReLife or somebody outside of ReLife organisation recognises it, the programme immediately gets cancelled and you will have no future career support.

 

THP a world where ReLife Laboratory exists.

 

 

  • Motionの定義・解釈について

沢山書いていますが、要点に絞るとこんな感じかなと思います

ReLife研究所という政府が秘密裏に所有する会社が

NEETなど社会から隔絶されている人を対象に

・全額負担して高校生活を1年間過ごさせる福祉プログラムをします

・対象者は記憶を保持したまま元の生活に戻るが、ReLife中の周囲の人間は対象者のことを忘れるし、他の人間誰もReLifeのことは知らない

 

ReLife読んでましたねえ・・・

元々はcomico連載の漫画だったのが、アニメ化もしたんですよね

面白いのでぜひ見てください

https://www.comico.jp/comic/23

relife-anime.com

 

 

  • BOPについて

MotionのWording的に、かつ現実の福祉政策とか的にまあ当たり前だろと思うかもしれないのですが、

このMotionって「ReLifeが絶対的に一番優れた福祉政策・更生プログラムである」という証明責任は全く無いんですよね

別に、Govの世界でReLife以外の職業訓練なり生活保護なりセラピーなりコミュニティでの交流なり、どんな福祉政策が共存しててもいいわけですよ。

 

そうなってくると、特にGovとして意識したいのは以下の3点ですね

・Govにとって都合のいいReLifeプログラムのストーリー、成功はどのようなものがあるか

・なぜそのストーリー、成功がLikely to happenであるといえるか

・ある程度相手に譲歩したEven ifのケースはどのようなものがあるか

 

 

上記を踏まえて、ReLifeプログラムってどんなものか具体化してみましょう。

ここのポイントは、全部がArgument, Analysisに直結するかどうかは一旦置いておいて、とにかく具体的なイメージを持つことです。

・一連の流れ

~開始まで~

対象者のざっくりとしたリストアップ→ReLife適合性の判定→ReLifeをするかどうかの最終判断・合意取得→ReLife開始前準備(身辺整理、学校生活の説明、プログラムの目標設定など)

 

~開始から~

ReLife開始(入学or転校の扱い)→日々の経過観察・指導→テストなど成果を図る仕組み

(学校のもの、ReLife独自のもの)

 

~終了前後~

ReLifeでの成果をまとめる→振り返り面談など→ReLife卒業可否の判定→ReLife卒業後の進路の調整→卒業、社会生活への復帰

 

・関わって来る人

ReLife前の環境における周囲の人間(職場、友人、家族など)

ReLife Laboratory関係者(学校の先生、友人など)

ReLife Laboratory関係者(研究所での分析担当や、ReLife対象者を直接担当し日々の指導を行う人など)

ReLife卒業後の環境における周囲の人間

 

ここまで見て、「Infoにそんな事書いてないやん」って思う部分めっちゃ多いとは思うんですが、

こういうふわっとしたMotionって全部の情報をInfoに書ききれるわけ無いですし、

大事なのは「Reasonableでありえそうな範囲」の情報をInfoにある情報から延長させて、「具体的」かつ「できれば自分たちに都合の良い分析・前提となるように」説明することです

 

コツとしては類似のシステムや概念から引っ張ってくるのがまあ丸いですね。

 

 

  • ここまでの総括

かなり書いちゃったので、Govの目線(といいつつOppもClashするので試合全体の争点)としてまとめると

ReLifeの対象者はどのように選ばれるのか、ReLifeの対象者の特徴

ReLifeでどんなことをするのか

ReLifeの中でどのような経験・感情を持つのか

ReLifeでどのような経験スキルを得るのか、それは将来どのように影響を持つか

ReLife後の進路はどのように決まるか、どのような生活を送るか

これらについて、登場アクターのIncentiveとCapacityを分析していくイメージです

ReLife LaboratoryやReLife対象者など)

 

 

  • Govのアーギュメント

 

0.BOPの押しつけ

・Oppは「どのようなケースにおいても、ReLifeが他の制度と比べて特に不適切」と言う必要がある

A)通常の就職支援などを含む色んな福祉政策・制度の1つでしかなく、対象者の特性や状況に合わせて最適な方法を選択できるから

B)Govの世界ではReLifeは数十年以上継続して実施しているはずであり、多少のシステムの欠陥などは既に改善されているはず。他の福祉制度にも何かしらの問題点はあり、改善されているか残っているかの状況であり、ReLifeに問題点があるからといってやってはいけない理由にはならない

※但し、「じゃあGovがやりたいことはなぜ他の福祉政策ではできないのか?」という指摘とSymmetricなので、Unique benefitはきちんと出すこと

 

1.ReLifeが有益なケース①:単純な勉強のやり直しや高卒認定レベルの学歴

・Problem:社会性に大きな問題はないものの、過去の家庭環境などで高校卒業や同程度の学力・学歴がないため、就職や生活が困難になっている人も多い

・Necessity:かといってその人が自分自身で高校に入りなおすには資金・環境的な問題が多い

・Solution:学び直しによる学力・学歴をもって就職や資格取得がより容易になる

・Uniqueness:ReLifeで実際の18歳に戻って自然な環境を提供することで、(Oppの世界で普通に高校に通わされるより)勉強に専念できる。またReLifeのコネで就職先がある程度は補償されているメリットも有る

 

2.ReLifeが有益なケース②:人間関係・社会性の獲得

・Problem:これまでの経験など色んな理由から、人間不信だったりコミュニケーション能力に問題がある人がいる(職場でのパワハラなどなど)

・Necessity:仕事やお金が無い人にとって、人との交流の場を持つ機会はとてつもなく限られているため、福祉制度という形での機会提供が必要

・Solution:高校でクラスメートや部活仲間と交流することにより、人との会話のスキルやそれに対する自信を獲得することができる

・Uniqueness:高校はカジュアルな繋がりによりコミュニケーションを練習することができる(詰めたり成果を求められたりする仕事と異なる)。また、ReLife職員の手厚いサポートもあるためやりやすい

 

3.ReLifeが有益なケース③:高校時代の経験が無いことによる精神的コンプレックスなど

・Problem:「高校に通えていなかった」「高校で◯◯な失敗をした」という環境・経験に起因するコンプレックスやトラウマを一生抱え続けている人がいる(

・Necessity:トラウマの起点が高校生活なので、どんなことをしてもトラウマがなくなることはない

・Solution:高校生活をやり直す事ができるので、そのトラウマを克服できる

・Uniqueness:Necessityと同じ(略)

 

4.その他、どこかの分析で使えそうなUniqueness

・1年後にはReLife関係者は記憶を消されるからこそ、失敗を恐れず色んなことに挑戦できる

 

 

 

  • Oppのアーギュメント

疲れたので要素だけ並べて簡単に・・・

 

1.そもそもReLifeうまくいかんぞ

・根本的な学力や勉強の習慣の欠如が問題なのに、いきなり高校2-3年の勉強難しい時期に入れてどうすんねん

・高校や対人関係にトラウマがあるなら、そのトラウマを再度体験させてどうするねん

・転入生は友達いないしコミュニティからハブられるぞ

・ジェネレーションギャップひどすぎてまともに会話したり仲良くなったりできないぞ

・「1年後には自分はどうせ忘れ去られる」って思ったら虚無感で何もできないぞ

 

2.他の政策の方が良い理由

コスパが良い(ReLifeはとてつもなく手厚いサポートが必要で、そのお金は色んなものに使えるはず)

・柔軟性が高い(高校の授業とか究極的には簡単には変えられないし自分のペースでできないので、資格取得支援とか職業訓練とかのほうが良い)

・期限がそこまで厳格には決まっていない

・他人とのCompetitionを過度に煽るような仕組みもない(学校の学習とかテスト・入試は競争を煽るようになっている)

 

3.マクロな観点

ReLifeは以下の様な複数の観点から政府にとって都合が良いので、他の福祉政策よりも優先されがち。結果として、ReLife拡充の動きになって、ReLifeの存在が(色んな観点からより良い可能性がある)他の福祉政策とMutually Exclusiveになるので良くない

・制度運営の観点:学校教育に丸投げできるので、金は多少かかるかもしれないが、行政の人的コスト削減や責任論・批判から逃げやすいというメリットがある

・Self-helpのNarrative:上記に加えて、「政府は十分な環境を用意したので、後は学校の中で個人が頑張るだけ」というのがReLifeの位置付け。なので、ReLifeという制度の良し悪しや改善策は議論の俎上に上がりづらい(失敗=個人のせい、となるから)

・そもそもこの機関・制度ってPublicly secretだったらAccountabilityもクソもないのでは

 

仮にこの機関・制度がPublicly visibleなものであったら、

3に書いた自己責任論・Self-helpのNarrativeやAccountabilityの話ももう少し広がるかもしれないですね(Gov/Opp双方の観点から)

 

 

 

  • 最後に:ケースの選び方・出し方について

このMotion(や秋T R4で出したSan Pedro Prison Structure)のように、「何かしら膨大な世界を議論するMotion」の場合、ケースの優先順位を考えたり、Extensionを捻り出すにあたり、

大事な要素ではあるが忘れられがちなポイントがあります。

 

1.制度・世界観の根幹に関わる話

秋T R4のSan Pedroでいえば、「刑務所内のルールは刑務所内の選挙で決定されます」というのはほぼ全ての分析・アーギュメントの内容に大きく関わってくるので

自分たちから出しておかないと、容易に他のチームに乗っ取られる可能性がありますね

(詳しくは秋TのMotion解説もかくかもしれないので、本記事ではスキップします)

 

今回のReLifeで言えば、「どんな人がReLifeを行うのか」、もっと言えば「政府やReLife運営者はどの様なIncentiveを持って、どの様な手法でReLife対象者を選ぶのか」といった大前提の部分だったりとかは大きな影響がありますよね

 

他にも例えば超雑ですが、「対象者がActively consentしてReLifeを行っているのだから、何らかReLifeにデメリットがあったとしても、Choiceとして重要」といった分析も出せなくはないですよね

(Impactに欠けるので、少なくともこの分析をこのニュアンスのまま出すことは多分無いでしょうが)

 

 

2.制度・世界観の(概念的な)大枠を捉えた話

これはReLifeや秋T R4 San Pedroのように、複数要素が入り混じったMotionをやる際や

ないしClosingのExtensionに困った時に大事になるのですが、

「色々書いてるけど、このMotionって要は概念として何をやりたいの?」という部分に立ち返るのはとっても大事だったりします

 

でないと、仮にInfoの細かい一部分にフォーカスして自分たちが完璧にケースを建てたとしても、負けるリスクがいくつか存在してしまいます

・概念・Relevancyの観点から、Motionの一部の話しかしておらず、直接的・総体的にMotionの肯定・否定につながる話ができていない

・相手のPrincipleやスタンスに反しない限り、相手チームは細かいAlternativeをサポートすることができるので、局所的な前提に基づいたメリット・デメリットであればあるほど、Necessity・Uniquenessを大きく削られる可能性がある

 

といった感じです

 

 

3.長期的な・社会全体のNorm・Discourseの変化

このMotionの有無(Gov/Oppの世界)によって、そもそも社会全体のMoralityや何かしらの認知・価値観が大きく変わる場合があります

ReLifeのMotionで言えば、(仮にReLifeが公的に認知されるものであった場合は)

・失敗してもやり直すことができる(ポジティブ)

・やり直す事ができるからこそ、失敗したままのやつは怠惰なだけ(ネガティブ)

といった分析も出せますよね

 

ですがこれはこういった広いMotionに限った話ではなく、

もう少し狭い・カチッとしたPolicy Motionとかでも当てはまったりします。

 

例えば秋T Pre-SFで出されていた天災天才的なこのMotionだと、

THBT VTuber production companies should unilaterally prohibit "Kirinuki" channels, instead of continuing current effort to spread compliance towards the "Kirinuki" guidlines

(今回は主題ではないのでInfo略。UTDS Motionサイトなど見てください)

 

切り抜き自体の良し悪しにフォーカスがまず行くと思うんですが、

「そもそもなぜVtuberは業態として体調を崩すほどの長時間配信が横行しているのか」

「切り抜きにより『面白い瞬間だけ切り取って広める』というのが当たり前になっている状態だと、ランダム的に発生する面白い瞬間を少しでも捉えるために、長時間配信になりがち」

みたいに、マクロな視点でアクターがどのようにIncentiveや行動を変化するかという話も出せますよね

 

 

まあまあこんなものは書き始めると切りがないのでここで筆を置きますが、

秋TのMotionについてはできれば解説記事出したいなと思ってるのであまり期待せず期待していてください。

 

もっともっと余裕があれば、1-2年位先延ばしにしていたSpeaker scoreの付け方・見本スピーチとなぜその点数になるのか

みたいなものもやりたいなと思っているので

年明けに出てきたら天才位に思っていてください()

 

 

R50:Japan Womxn's Nationals 2023のMotion解説

大会当日に大会へ貢献することができなかったので
Motionを見ていくつか思うことがあったので、忘れないうちに気が変わらないうちに急いで書いてしまおうのコーナーです

 

以下2つのMotionを使いつつ、MotionのBOP設定やスタンスの取り方、後は個別にどんな議論が出せるかを書いていきます

 

いつも通り、「こういう考え方をする人もいるんだな」と批判的に見て解釈してもらえればと思います

 

R1の内容を書いた時点で疲れ切ったので、GFの内容は後日に回します()

タイトルにPart1とか書くと、Part2が来なかったときに悲しい(他人事)ので書きません

 

Round 1

Info:

Climate mitigation refers to efforts to prevent the progress of climate change. (e.g. saving electricity, stopping fossil fuel power plant, promoting renewable energy, preventing deforestation).
Climate adaptation refers to efforts to adjust to the effects of climate change. (e.g. making evacuation plans, building infrastructure for increased disasters, making agri-products more resistant to higher temparetures, searching for alternative living habitats)

 

TH, as young climate activists, Would prioritise advocating for climate adaptation over climate mitigation.

 

 

Grand Final

Info:

ReLife Laboratory is a secret state owned company which provides a programme called "ReLife" targeting at people who are socially detached(example of these people includes but not limited to NEET, those who are depressed/traumatised by society).
If you are chosen as a participant of this ReLife programme with your consent, you can choose to take a pill which physically recovers your body condition back to how it was when you were around 18, and you will be sent to high school selected by the laboratory with all the expenditure subsidised.

You will spend one year as a high school student and according to your activities you will be introduced to some corporations as future career support when the programme finishes.
After the programme, you will go back to your life with your memory fully reserved while the people who were in touch with you during ReLife will forget about you.
However once you expose you are under ReLife or somebody outside of ReLife organisation recognises it, the programme immediately gets cancelled and you will have no future career support.

 

THP a world where ReLife Laboratory exists.

 

 

Round 1

TH, as young climate activists, Would prioritise advocating for climate adaptation over climate mitigation.

 

 

  • BOP・Motionのスコープについて

Motionのジャンルとか抽象的な対立だけ見て議論を出しがちなのですが、このMotionはActor Motionであることに注意が必要です

 

類似Motionで以下のようなものがあります。

THW prioritize policies to adapt to climate change, rather than ones to prevent climate change.

 

大きく違うのは、今回のR1のMotionだと「Young climate activistsのinterestを満たすか」が全ての議論の終着点にならないといけない点です

端的に言えば「Young climate activistがHappyになるかどうか」なんですが、この人が何をしたらHappyになれるのか、何がこの人のInterestと言えるのかはかなり多岐にわたります

・気候変動による直接的な人的被害を減らす

・気候変動による環境破壊・動物や生態系への被害を減らす

・自身の老後や身内が長く幸せに生きられるように環境・自然を保護したい

 

直接的に環境関連だけで考えてもこんな感じで色々ありそうですが、もちろん他にも

・お金を稼げる

・(活動における)自分の努力が結実することによる達成感

など、Climate activistsかどうかによらず人間が一般に幸福を感じられる物はたくさんありますね

 

何が伝えたいかというと、Motionを見ていきなり「Climate adaptionとClimate mitigationのどっちが人類全体や地球にとって良いか」と考えるのではなく、

「何をしたらMotionの肯定否定につながるのか、そのためにどの様な戦略が必要か」から丁寧に考えましょうということです

 

  • スタンスについて

上にでは「議論の帰結になるべき内容・Impact」について書きましたが

もう1つ大事な点として、「Gov/Oppの世界で一番直接的に変わるのはなにか」という点です

 

類似Motionとして書いた↓この場合は、
THW prioritize policies to adapt to climate change, rather than ones to prevent climate change.
「政府による気候変動に対する政策がどうであるか」という点が変わります

なのでGov/Oppの世界の違いもかなりDynamicですし、それをありきとしてマクロな議論が展開されることが多いと思います

 

ですが今回のR1のMotionの場合、Gov/Oppの世界の違いは「Young climate activistsがどの様なAdvocacyをするか」という点のみが違いになります

ココまで読んで冷静に想像すると分かるかと思うのですが、このMotionにおいていきなり「政府の政策や国際機関・企業による規制・経済活動が変わる」ということはないですし、

社会全体・人々の認知がいきなり大きく変わるということもないです

 

これがスタンスにどう影響してくるかというと、

・じゃあどこまで証明責任が重い議論を出しに行くのか

・メカニズムやImpactは何がConsensusになりそうか

という戦略的な部分もありますし、

 

ボトムアップで考えるなら

・Young climate activists以外にどの様なアクターがいるか(Climate adaptationを支持する人も、Climate mitigationを支持する人もいるでしょう)

・YoungじゃないClimate activistsはどんなことをAdvocateしているのか?

 

みたいな部分は、このMotion固有で考えないといけないことかなと思います

 

 

あと1点ずるいかもしれないけど証明できたら強いスタンスについて。

このMotionだとOppから「CO2削減などMitigationを推すことで、再生可能エネルギーなどGreen techの開発・普及が加速する」みたいな話が出るかなとおそらく思うのですが、

自分だったらPMの頭から「再生可能エネルギーはGovの世界でも進みます」と言いますね

なぜなら化石燃料は結局いずれ底をつくことが予想されるので、温室効果ガスやCO2排出量を削減する目的でなくとも、代替エネルギーは必要になるからですね

 

これ言っておくだけで、Oppの勝ち筋の1つである「長期的なSustainability」の部分を削れるのはお得な気がしています

 

 

  • アーギュメントの走り書き

ここまで長く書いて疲れたのでサクッと済ませます

後ろに行くほどClosing寄りなイメージです、自分がClosingだったら上から順にキープしといて、Openingと被ってないものを言うかなと。

 

あと、以下繰り返しになるのでここでしか書きませんが

Seriousness of climate change and its urgencyなりなんなりImpact出すと思いますが、

全て「じゃあなぜそれをAdvocateすることがYoung climate activistsのInterestになるのか」を証明する必要があります。そのLinkageが無いと普通に4位になる可能性あります

 

Gov

    • Climate adaptationを推し進めるほうが、Activist自身の幸福に直結する
      • Mitigationよりも短期的かつ確実に結果が出るので、達成感をえられやすい
      • 行動によって救われる人・対象が、Adaptationの方が明確なためやりがいがある(例えば埋め立てや砂漠の緑化により、居住地・農地など生活用地が拡大する。その人達から直接感謝のメッセージを受け取るなどもあるかもしれない)
    • Climate adaptationの方が、Climate mitigationよりも世間の支持を得られやすく、結果として人々の救済に繋がりやすい
      (この場合、ActivistのInterestとしてClimate changeによる被害を食い止める事が大事という説明が最低限必要。できればMitigationとの差分をUrgencyなりVulnerabilityなりで出してその重要性も説明する)
      • 短期的に結果が出るので人々、企業、投資家色んな支持が得られる
      • 人々の苦しみがよりUrgent, tangibleに分かるようなメッセージを届けられる(ツバル沈んでるとか)ので、共感も得られやすい
      • Adaptationは新たなビジネスを作るが、Mitigationは既存ビジネスや人々の経済活動を縮小する方向に働きやすいため、企業・政治家の支持を得づらい(電気使用量・CO2規制のために工場の稼働を制限したり、電気使用量について家庭の負担が増えたり)
    • Adaptationの方がMitigationよりもEquitableな政策になる
      • Mitigationは例えば電気使用量・CO2排出量の規制とかになるとすると、それって結局排出枠トレードが進むんで先進国・大企業はバンバン利用排出して、途上国・中小企業の経済活動だけ阻害されてしまう
      • Adaptationは苦しんでいる人に直接刺さる政策をする
      • 極論、最終的に地球は住めなくなるので別の惑星に移住する計画が必要。なのでMitigationの結末は人類滅亡だがAdaptationの結末は人類生存

 

Opp

    • Mitigationの方が根本的な解決につながる
      (Impactベースの話。Scale of impactなりなんなりの差分がなぜ大事なのかを証明する)
      • Climate change自体をSlow downすることで、今後地球で生きる人類全体の生活が改善する
    • 人々のAwarenessがより上がるため、より規模の大きいCollective action, social changeに繋がり、人々を救済できる
      • 電気料金や経済活動など人々の生活に影響があるからこそ、「なぜClimate changeがSeriousで対処が必要なのか」という議論、認識が広まる
      • Awarenessが上がるからこそ、Movement, governmentの政策が正しいか・効果的かというDemocratic checkが働く様になる
    • Mitigationの方がEquitableである
      • Mitigationは人類全体に影響があるのに対し、Adaptationは一部の人間にしか影響がない。国の税金なり地球のリソースなりを使ってClimate changeに対するActionを取るのだから、それを享受する権利は人類全体にあるべき
      • Adaptationの内容・対象は政治によって恣意的に決められる(Political resourceなり、その地域の経済的・資源的利用価値など)ので不公平
      • Mitigationは人類だけでなく動物・地球全体に影響がある
        →普段のディベートなら「Human beings are more important than animals!」とか言われるところですが、
        このMotionは「Climate Activistが何を気にするか」がImpactなので、例えばその人達がClimate changeを食い止めたいとする原動力・理由の1つに動物・生態系保護があってもおかしくはないですよね

 

頑張って近いうちにGF分も書きますぞい。希望的観測。

R49:ジャッジアロケーションのやり方

最近忙しすぎて禿げました。嘘です。

 

Keio Debate OpenとSophomon Cupで運営(AC)して、The Kansaiはディベーターで出て、ついでにHPDUのジャッジもして、体力が底をつきましたが

 

「これ資料とかで見たことないな?」って思ったので、ACとして何を考えてジャッジアロケをすべきかを書いて残したいと思います

 

簡潔にサマリするとこんな感じです

(コンフリクトの反映は当たり前なので省略します)

  • ジャッジ・ディベーターの属性・アイデンティティを考慮しつつ
  • 客観的な指標を用いて
  • 接戦になりそうな試合、及びブレイク可否に影響のある試合にいいジャッジを優先して配置する

 

 

 

○参加者の属性

皆さん自分がアーギュメントを作ってスピーチをする際に、「人はバックグラウンドによって経験・知識・価値観が異なる」という説明を出したことがある人は多いのではないでしょうか?

ディベート・ジャッジにおいてももちろん当てはまります

 

では、ジャッジアロケにおいて考慮すべきジャッジの属性とはなんでしょうか?

 

 

辺りかなと思います

 

ちなみに、誰をIAとして招待するか検討する際もこれと似たようなことを考えると思います
(AC・他のIAとできるだけ異なる属性の人を選ぶ、など)

 

ここで私が解決策まだ思いついていない超特大カベにぶち当たるんですが、ジャッジの方の性別・ジェンダーってどう扱うのが一番いいんでしょうかね?

 

大会参加登録の際に効くのは1つの手ですが、

  • 大会運営に対して自身の性別・ジェンダーを公開しなければならないのか?
  • 公開しない場合(「回答しないを希望」など)も、それはそれで問題があるのではないか
    →Cis-heterosexualの人間は多くの場合、自身の性別・ジェンダーを公開することに抵抗がないので
    公開したくない人=つまりマイノリティです、と言わせているようなものではないか?

とか問題じゃないかなあと考えているのでこれまで大会で実施できたことはないです

 

結果として、自分の知識(本人や他人から聞いた話)を用いつつも

最終的には名前とかから勝手に属性を推測してアロケするというマジで最悪なオプションを取ってしまっている現状です

 

解決策募集です

 

 

○客観的な指標を用いる

 

「この人ジャッジ上手い、前の大会でプライズ取ってた」
「あの人ジャッジ下手、前にイラジャされた(って友だちが言ってた)」
「この人ジャッジスコア高いけど、名前聞いたことないな・・・本当に大丈夫なの?」

 

これ全部、主観的ですよね一応

ジャッジをアロケする時は「ジャッジが上手い人かどうか」を判断して適切な部屋に入れる必要がありますが、

マイポリシーは「極力その大会でのジャッジスコアだけ見るようにする」ということです

 

以前の噂・偏見や評価が現在のその方のジャッジ能力に当てはまるかどうか不明という理由ももちろんありますが、

「この大会の参加者がつけた点に従ってアロケする」のがその大会参加者とのReciprocityかな?とか思ったり思わなかったりします

 

本当にジャッジの数が少なすぎてチェア人材に困るときとかは、「この人何故か点数低いけど大丈夫だよね」とか話したりしますが、

そうでもない限りはできるだけJT・他参加者からついた点数に従ってアロケするのがいいかな?と思います

 

 

○どの試合にアロケするか?

 

予選の目標は「公平な試合の結果、本選出場に値する強さのチームがブレイクすること」だと思うので、

基本的にはブレイクを左右する部屋を注視する必要があると思います

※交流を重視する大会(特に初期の1年生大会など)などもありますが、そういう例外はここでは除外します

 

ブレイクを左右する部屋、ってどこでしょうか?

典型的な例でいくつか考えてみます

 

Asian(3 vs 3)の大会で予選4試合の場合、大体のケースで「3勝がブレイクのボーダーライン」になるようにブレイク数が調整されると思います
(3勝でブレイク、2勝はブレイク落ち)

 

そうすると、2回負けた時点でブレイク落ち確定なので
何試合目かによらず、1敗のチームがいる部屋は実質バブルということになりますね

 

BPであれば計算はもっと複雑ですが、Asianの場合と同じく「負けたらブレイク落ち確定」のチームがどれくらいいるか、という観点で考える形になります

 

 

ですがここで重大なトレードオフが発生するのが、大会のジャッジアロケです

仮に1敗チームがいる部屋にスコアの高いジャッジを優先して配置すると、いわゆるトップラウンド等ハイレベルな試合をジャッジできる人がいなくなってしまう可能性が高いです

 

スコアが高いジャッジと言うのはもちろん「フェアにジャッジができ、正しい勝敗を出すことができる人」が本質ですが

往々にしてジャッジスコアが高い人は、物量の多い試合・めちゃくちゃクロース(接戦)な試合のジャッジも上手い事がほとんどです

 

逆に、ジャッジスコアが低い(ハイレベルラウンドをジャッジできない)人をハイレベルラウンドにアロケしてしまうと、

ディベーターの不満につながるのみならず、その方のジャッジスコアが下がってしまい結果ジャッジも不幸になることが多いです
(無理な負担を強いることになっているので)

 

ですので、「ブレイクを左右する部屋に良いジャッジを入れる」一方で、「ハイレベルなラウンドも良いジャッジを入れる」というバランスが重要になってきます

 

 

 

以上を踏まえて、ちょっとだけアロケのイメトレ(練習)を書いてみたいと思います

 

以下の試合のジャッジアロケをするところと仮定しましょう(一旦チームの強さ・勝ち数は無視)

 

  Gov Opp
Room1 きのこの山(関東) たけのこの里(非関東)
Room2 赤いきつね(関東) 緑のたぬき(関東)
Room3 豚骨ラーメン(非関東) 醤油ラーメン(非関東)

 

設定は雑ですが、ジャッジプールは以下の通りです(一旦ジャッジスコアは無視)

ジャッジ 大学・地域 ディベート 性別ジェンダー
関東 1年 cis-hetero-男
関東 4年 cis-hetero-男
関東 3年 cis-hetero-女
非関東 3年 not cis-hetero
非関東 4年 cis-hetero-女
非関東 2年 cis-hetero-男

 

実際の大会であれば実力を考慮して、単チェアの部屋と3人ジャッジの部屋を作ることも想定されますが
チームの強さ・ジャッジの上手さは一旦無視してるのでここは2人ジャッジ×3部屋としましょう

 

1つの回答例(筆者の意見)はこんなかんじです

 

  Gov Opp Judges(順不同)
Room1 きのこの山(関東) たけのこの里(非関東)
Room2 赤いきつね(関東) 緑のたぬき(関東)
Room3 豚骨ラーメン(非関東) 醤油ラーメン(非関東)

 

これは単純に各部屋の地域・性別ジェンダーダイバーシティを考慮しただけに見えますが、もう1ポイント実はあります

それは、Room1のジャッジの入れ方です

バイアス・ディベート価値観の近さ・親しさ、様々な理由からジャッジは自分の地域のチームに勝ちをつけやすい可能性があります

だからこそRoom1は特に関東・非関東ジャッジ両方がいる必要がありますが、

仮に赤(関東1年生)と緑(非関東4年生)をアロケしてVoteが割れた場合、1年生の赤が萎縮して簡単にVoteを変えてしまう可能性などが考えられます
(1年生だから簡単に4年生に屈してしまう、というのもステレオタイプではありますが、あくまでも思考実験として捉えてもらえると)

 

なので、地域の差でVoteが変わる可能性がある部屋では、地域間のPower imbalanceがない方がいいかな?ってのが個人的な考え方です

 

 

 

今度はこんな状況ならどうでしょうか?

 

Round 3   Gov Opp
2勝同士 Room1 きのこの山(関東) たけのこの里(非関東)
1勝同士 Room2 赤いきつね(関東) 緑のたぬき(関東)
0勝同士 Room3 豚骨ラーメン(非関東) 醤油ラーメン(非関東)

 

ジャッジ 大学・地域 ディベート 性別ジェンダー ジャッジスコア
関東 1年 cis-hetero-男 7
関東 4年 cis-hetero-男 9.5
関東 3年 cis-hetero-女 8.5
非関東 3年 not cis-hetero 8
非関東 4年 cis-hetero-女 9
非関東 2年 cis-hetero-男 8

 

まず本来的には、ジャッジスコアが高い3人をチェア要員とするのが普通かなと思います
(実際の大会ではボーダー近いジャッジをチェアにおいてOAしてもらうことで、パネル・ディベーターから多角的に評価しブレイクできるかどうかをチェックすることもありますが、今回は一旦無視します)

 

大体の大会のジャッジスケール的に「8点はまあチェアやっても大丈夫」なラインだと思うので、
Room3のチェアは赤以外の誰かにしよう、ということで一旦検討は後回しにしましょう
(勝ち数が低い部屋を軽視しているようで本当に良くないのですが、リソーストレードオフ的には仕方ないこともあるので・・・)
(Rookie breakなどある場合は0勝同士でもブレイクかかってたりするので別ですが、今回は一旦無視)

 

 

状況を整理すると、各Room1,2に求められるものはこんな感じでしょうか

Room1

  • 地域差バイアス・Vote割れを考慮し、できるだけジャッジの実力・発言力が近い関東・非関東ジャッジを入れたい
  • トップラウンドでハイレベルになることが予想されるので、点数の高いジャッジを入れたい

 

Room2

  • 地域差は特に関係ないので最悪無視しても大丈夫
  • ブレイクがかかっており勝ち負けの重みが大きいので、フェアなジャッジを担保したい

 

これを前提にどうするか、ですが

あくまでも一例として、個人的にはこうなるかなあと思います

 

Round 3 Gov Opp Judges(順不同)
2win Room1 きのこ(関東) たけのこ(非関東)  
1win Room2 きつね(関東) たぬき(関東)
0win Room3 豚骨(非関東) 醤油(非関東)  

 

Room1はハイレベルになると考えると、少なくとも赤はアロケしないほうがいいかもしれないでしょう

一方でRoom2もまあ競ることは予想されるので、良いジャッジは最低1人は欲しいですし、割れたときにディスカッション・Voteできるようにしておきたいです

 

なのでまず点が高い青・緑の2人を上からRoom1, 2に入れます

そうするとRoom1は地域・ジェンダーダイバーシティ的に紫を入れるのが良いでしょう

 

Room2はブレイクがかかっているのでできるだけジャッジの質を担保したいが、9.5の青はRoom1に入れたまま動かしたくない
ので、Room2は人数を増やすことで対処しましょう、ということで赤と黃を入れて、結果こんな感じの案になりました

 

 

ただこれざっくり考えただけですし、実際の大会ではコンフリクトや「前のラウンドでジャッジしたので次は別の人を入れたい」とかあったりしてもっと複雑なので

上記はあくまでも思考実験の一例として考えてもらえると有り難いです