とあるまさおの討論録(ディベートログ)

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まさおがディベートについて思ったことをつらつらと書いていきます。ご自身の意見等あれば是非コメントしていただきたいです。Twitter→@masaoopen

R50:Japan Womxn's Nationals 2023のMotion解説

大会当日に大会へ貢献することができなかったので
Motionを見ていくつか思うことがあったので、忘れないうちに気が変わらないうちに急いで書いてしまおうのコーナーです

 

以下2つのMotionを使いつつ、MotionのBOP設定やスタンスの取り方、後は個別にどんな議論が出せるかを書いていきます

 

いつも通り、「こういう考え方をする人もいるんだな」と批判的に見て解釈してもらえればと思います

 

R1の内容を書いた時点で疲れ切ったので、GFの内容は後日に回します()

タイトルにPart1とか書くと、Part2が来なかったときに悲しい(他人事)ので書きません

 

Round 1

Info:

Climate mitigation refers to efforts to prevent the progress of climate change. (e.g. saving electricity, stopping fossil fuel power plant, promoting renewable energy, preventing deforestation).
Climate adaptation refers to efforts to adjust to the effects of climate change. (e.g. making evacuation plans, building infrastructure for increased disasters, making agri-products more resistant to higher temparetures, searching for alternative living habitats)

 

TH, as young climate activists, Would prioritise advocating for climate adaptation over climate mitigation.

 

 

Grand Final

Info:

ReLife Laboratory is a secret state owned company which provides a programme called "ReLife" targeting at people who are socially detached(example of these people includes but not limited to NEET, those who are depressed/traumatised by society).
If you are chosen as a participant of this ReLife programme with your consent, you can choose to take a pill which physically recovers your body condition back to how it was when you were around 18, and you will be sent to high school selected by the laboratory with all the expenditure subsidised.

You will spend one year as a high school student and according to your activities you will be introduced to some corporations as future career support when the programme finishes.
After the programme, you will go back to your life with your memory fully reserved while the people who were in touch with you during ReLife will forget about you.
However once you expose you are under ReLife or somebody outside of ReLife organisation recognises it, the programme immediately gets cancelled and you will have no future career support.

 

THP a world where ReLife Laboratory exists.

 

 

Round 1

TH, as young climate activists, Would prioritise advocating for climate adaptation over climate mitigation.

 

 

  • BOP・Motionのスコープについて

Motionのジャンルとか抽象的な対立だけ見て議論を出しがちなのですが、このMotionはActor Motionであることに注意が必要です

 

類似Motionで以下のようなものがあります。

THW prioritize policies to adapt to climate change, rather than ones to prevent climate change.

 

大きく違うのは、今回のR1のMotionだと「Young climate activistsのinterestを満たすか」が全ての議論の終着点にならないといけない点です

端的に言えば「Young climate activistがHappyになるかどうか」なんですが、この人が何をしたらHappyになれるのか、何がこの人のInterestと言えるのかはかなり多岐にわたります

・気候変動による直接的な人的被害を減らす

・気候変動による環境破壊・動物や生態系への被害を減らす

・自身の老後や身内が長く幸せに生きられるように環境・自然を保護したい

 

直接的に環境関連だけで考えてもこんな感じで色々ありそうですが、もちろん他にも

・お金を稼げる

・(活動における)自分の努力が結実することによる達成感

など、Climate activistsかどうかによらず人間が一般に幸福を感じられる物はたくさんありますね

 

何が伝えたいかというと、Motionを見ていきなり「Climate adaptionとClimate mitigationのどっちが人類全体や地球にとって良いか」と考えるのではなく、

「何をしたらMotionの肯定否定につながるのか、そのためにどの様な戦略が必要か」から丁寧に考えましょうということです

 

  • スタンスについて

上にでは「議論の帰結になるべき内容・Impact」について書きましたが

もう1つ大事な点として、「Gov/Oppの世界で一番直接的に変わるのはなにか」という点です

 

類似Motionとして書いた↓この場合は、
THW prioritize policies to adapt to climate change, rather than ones to prevent climate change.
「政府による気候変動に対する政策がどうであるか」という点が変わります

なのでGov/Oppの世界の違いもかなりDynamicですし、それをありきとしてマクロな議論が展開されることが多いと思います

 

ですが今回のR1のMotionの場合、Gov/Oppの世界の違いは「Young climate activistsがどの様なAdvocacyをするか」という点のみが違いになります

ココまで読んで冷静に想像すると分かるかと思うのですが、このMotionにおいていきなり「政府の政策や国際機関・企業による規制・経済活動が変わる」ということはないですし、

社会全体・人々の認知がいきなり大きく変わるということもないです

 

これがスタンスにどう影響してくるかというと、

・じゃあどこまで証明責任が重い議論を出しに行くのか

・メカニズムやImpactは何がConsensusになりそうか

という戦略的な部分もありますし、

 

ボトムアップで考えるなら

・Young climate activists以外にどの様なアクターがいるか(Climate adaptationを支持する人も、Climate mitigationを支持する人もいるでしょう)

・YoungじゃないClimate activistsはどんなことをAdvocateしているのか?

 

みたいな部分は、このMotion固有で考えないといけないことかなと思います

 

 

あと1点ずるいかもしれないけど証明できたら強いスタンスについて。

このMotionだとOppから「CO2削減などMitigationを推すことで、再生可能エネルギーなどGreen techの開発・普及が加速する」みたいな話が出るかなとおそらく思うのですが、

自分だったらPMの頭から「再生可能エネルギーはGovの世界でも進みます」と言いますね

なぜなら化石燃料は結局いずれ底をつくことが予想されるので、温室効果ガスやCO2排出量を削減する目的でなくとも、代替エネルギーは必要になるからですね

 

これ言っておくだけで、Oppの勝ち筋の1つである「長期的なSustainability」の部分を削れるのはお得な気がしています

 

 

  • アーギュメントの走り書き

ここまで長く書いて疲れたのでサクッと済ませます

後ろに行くほどClosing寄りなイメージです、自分がClosingだったら上から順にキープしといて、Openingと被ってないものを言うかなと。

 

あと、以下繰り返しになるのでここでしか書きませんが

Seriousness of climate change and its urgencyなりなんなりImpact出すと思いますが、

全て「じゃあなぜそれをAdvocateすることがYoung climate activistsのInterestになるのか」を証明する必要があります。そのLinkageが無いと普通に4位になる可能性あります

 

Gov

    • Climate adaptationを推し進めるほうが、Activist自身の幸福に直結する
      • Mitigationよりも短期的かつ確実に結果が出るので、達成感をえられやすい
      • 行動によって救われる人・対象が、Adaptationの方が明確なためやりがいがある(例えば埋め立てや砂漠の緑化により、居住地・農地など生活用地が拡大する。その人達から直接感謝のメッセージを受け取るなどもあるかもしれない)
    • Climate adaptationの方が、Climate mitigationよりも世間の支持を得られやすく、結果として人々の救済に繋がりやすい
      (この場合、ActivistのInterestとしてClimate changeによる被害を食い止める事が大事という説明が最低限必要。できればMitigationとの差分をUrgencyなりVulnerabilityなりで出してその重要性も説明する)
      • 短期的に結果が出るので人々、企業、投資家色んな支持が得られる
      • 人々の苦しみがよりUrgent, tangibleに分かるようなメッセージを届けられる(ツバル沈んでるとか)ので、共感も得られやすい
      • Adaptationは新たなビジネスを作るが、Mitigationは既存ビジネスや人々の経済活動を縮小する方向に働きやすいため、企業・政治家の支持を得づらい(電気使用量・CO2規制のために工場の稼働を制限したり、電気使用量について家庭の負担が増えたり)
    • Adaptationの方がMitigationよりもEquitableな政策になる
      • Mitigationは例えば電気使用量・CO2排出量の規制とかになるとすると、それって結局排出枠トレードが進むんで先進国・大企業はバンバン利用排出して、途上国・中小企業の経済活動だけ阻害されてしまう
      • Adaptationは苦しんでいる人に直接刺さる政策をする
      • 極論、最終的に地球は住めなくなるので別の惑星に移住する計画が必要。なのでMitigationの結末は人類滅亡だがAdaptationの結末は人類生存

 

Opp

    • Mitigationの方が根本的な解決につながる
      (Impactベースの話。Scale of impactなりなんなりの差分がなぜ大事なのかを証明する)
      • Climate change自体をSlow downすることで、今後地球で生きる人類全体の生活が改善する
    • 人々のAwarenessがより上がるため、より規模の大きいCollective action, social changeに繋がり、人々を救済できる
      • 電気料金や経済活動など人々の生活に影響があるからこそ、「なぜClimate changeがSeriousで対処が必要なのか」という議論、認識が広まる
      • Awarenessが上がるからこそ、Movement, governmentの政策が正しいか・効果的かというDemocratic checkが働く様になる
    • Mitigationの方がEquitableである
      • Mitigationは人類全体に影響があるのに対し、Adaptationは一部の人間にしか影響がない。国の税金なり地球のリソースなりを使ってClimate changeに対するActionを取るのだから、それを享受する権利は人類全体にあるべき
      • Adaptationの内容・対象は政治によって恣意的に決められる(Political resourceなり、その地域の経済的・資源的利用価値など)ので不公平
      • Mitigationは人類だけでなく動物・地球全体に影響がある
        →普段のディベートなら「Human beings are more important than animals!」とか言われるところですが、
        このMotionは「Climate Activistが何を気にするか」がImpactなので、例えばその人達がClimate changeを食い止めたいとする原動力・理由の1つに動物・生態系保護があってもおかしくはないですよね

 

頑張って近いうちにGF分も書きますぞい。希望的観測。